「難しい手術をする」という話を聞くたびに、もし望んだとおりの結果が出せなかったときに、医師は責任を負うのだろうかと考えます。
 患者にとっては、手術をしない選択は生きる可能性を減らし、手術をする選択は成功すれば生きる可能性を増やし、失敗すれば生きる可能性をさらに減らすかもしれません。
 医師にとっては、難しい手術をしなければ危険を負担することはありません。難しい手術をすると危険を負担することになります。
 今の世の中は世話を焼くと損をすることもある時代です。親切で助けたとしても、当人が満足できないと損害賠償請求という話になることもあります。

 そんなことを考えていると新薬の認可について慎重になるのは当然ではないかと思います。
 薬は多くの場合副作用が出ます。風邪薬を飲んだら眠くなるというものから、激しい嘔吐や下痢を起こすものなど様々です。
 奇形を有する子が生まれる可能性を高める副作用と聞くと慎重になります。不妊を高める副作用と聞くと慎重になります。

 竹下景子さん、小日向文世さん夫妻の年齢でも妊娠する時代ですから、将来に影響を及ぼす可能性のある副作用が見られる薬の許可はなかなか難しいのでしょう。