なかなか死ねない社会になりました。もちろん、寿命が延びたことは喜ばしいことなのかもしれません。
 最近では、健康寿命という言葉を聞くようになりました。ただ生きていればよいという考えから一歩進んだ考えなのでしょう。
 ただ生きていればそれだけですばらしいとする考え方を否定するものではありません。しかし、どのように生きたいかを考えるとき、ただ生かされている命を否定する人はいます。チューブにつながれて生かされる姿を求めていない人もいます。
 かつては口から食べられなくなれば死が近づいてくるものでしたが、今では経管栄養、胃ろう、中心静脈栄養など体に栄養を注ぐ方法はあります。
 人工呼吸器や人工腎臓など、私たちを生かしてくれる装置が存在しています。健在な時から死の迎え方を周りに示しておかなければ、ただ生かされる体になる可能性があります。