根保証といえば、事業をしていると日々発生する取引の費用(仕入れ商品の代金など)をイメージしますが、よく考えてみると家賃も毎回発生する新しい費用であり、それを保証するのだから根保証なんだと気づきます。
親から「連帯保証人にはなってはいけない」と言われた人も多いと思います。たしかに連帯保証人イコール債務者本人という関係が成立するほど責任は重たいものです。
一般にイメージする個人の借金(金銭消費貸借契約)は「金100万円借りる。利息は年15%。遅延損害金は・・・。」のようなもので、連帯保証人が覚悟すべきことはこの契約に書かれてことになります。
一方で、賃貸借契約(家賃)の連帯保証人になると、例えば六本木ヒルズの賃貸マンションであればあっという間に数百万円の保証債務の履行を迫られる可能性もあります。
六本木ヒルズでなくても、月6万円の家賃を1年滞納されると72万円です。現実1年も放置しておく債権者にも責任がありそうですが、根保証は際限なくカネ払えと言われてしまう可能性があります。
そこで、民法改正によって極度額を定めなさいとなりました。しかし、家賃については例えば「極度額を24か月分と原状回復義務の費用」と契約に定められると結局100万円を超える請求をされることになるでしょう。
やはり、連帯保証人になるときは覚悟する必要がありますし、きちんと支払われているか確認する必要があります。
ちなみに、家賃の連帯保証人になっている場合、支払えているかは本人に確認したり、債権者(大家、管理会社など)に問い合わせたりします。個人情報保護を理由に履行状態を債権者が連帯保証人に伝えられないということがないように今回の民法改正で条文が作られました。
なお、細かい話ですが、世の中には頼まれて連帯保証人になる人以外にも、頼まれていないのに連帯保証人になる人もいます。例えば、本人(親)だけでは借りられないが、連帯保証人がいれば借りられる場面で、大変プライドの高い親のために、こっそり子どもが連帯保証人(保証契約を結ぶ)になるという場合などがあります。
本人に頼まれた(委託された)保証人とそうではない保証人では法律上扱いが違う場面があります。
民法は私たちの暮らしに身近ですが、わからないことが少なくありません。もしかすると、債権法が変わり、相続法が改正されたことを知らない人もいるかもしれません。成人の年齢が18歳になることもニュースですが、これらも大きなニュースです。
普通に暮らしていれば、裁判所のお世話になることはほとんどありませんが、生活のある場面ではこれら法律が大きな意味を持つときもあります。きちんとした知識を付けておくことと専門家の助言を受けることが大切です。多くの市町村で無料法律相談が開催されています。そのほか、法テラスや弁護士会など相談できる場所があります。どの弁護士が良いかなどは教えてもらえないことが多いですが、相談の入口としては問題ないと思います。